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行政手続法:行政指導 - 特定行政書士試験学習ガイド

2025年9月23日

学習目標 この章では、行政手続法における「行政指導」について詳しく学習します。行政指導は、行政庁が相手方の任意の協力により一定の行為をするよ…

<h2>学習目標</h2>

<p>この章では、行政手続法における「行政指導」について詳しく学習します。行政指導は、行政庁が相手方の任意の協力により一定の行為をするよう、又はしないよう求める行為であり、現代行政において重要な役割を果たしています。特定行政書士試験では、行政指導の法的性質、手続的要件、限界などが頻出論点となります。</p>

<hr />
<h2>第1節 行政指導の意義と法的性質</h2>

<h3>1-1 行政指導の定義</h3>

<p>行政手続法第2条第6号は、行政指導を次のように定義しています。</p>

<p><strong>「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」</strong></p>

<p>この定義から、行政指導の要素を整理すると以下のとおりです。</p>

<h4>(1)主体:行政機関</h4>

<p>行政指導を行う主体は「行政機関」に限定されています。行政手続法第2条第1号により、行政機関とは法律の規定に基づき行政権の行使を委任された法人・機関を含む概念です。</p>

<h4>(2)目的:一定の行政目的の実現</h4>

<p>行政指導は、単なる私的な要請ではなく、法定された「任務又は所掌事務の範囲内において」行われる公的な行為でなければなりません。</p>

<h4>(3)相手方:特定の者</h4>

<p>不特定多数への一般的な広報・啓発活動とは区別され、「特定の者」に対する行為です。</p>

<h4>(4)内容:一定の作為又は不作為の要求</h4>

<p>具体的な行為をすること(作為)、又はしないこと(不作為)を求める行為です。</p>

<h4>(5)態様:指導、勧告、助言その他の行為</h4>

<p>法文上は例示的な列挙であり、様々な呼称の行為が含まれます。</p>

<h4>(6)法的性質:処分に該当しないもの</h4>

<p>最も重要な特徴として、行政処分(行政行為)には該当しない非権力的な行為です。</p>

<h3>1-2 行政指導の特色</h3>

<h4>(1)非権力性・任意性</h4>

<p>行政指導は、相手方の「任意の協力」を前提とする非権力的な行為です。行政処分のような法的拘束力はなく、相手方には従う法的義務はありません。</p>

<h4>(2)柔軟性・迅速性</h4>

<p>法律に基づく厳格な手続を経ることなく、状況に応じて柔軟かつ迅速に実施できます。</p>

<h4>(3)予防的・誘導的機能</h4>

<p>問題が顕在化する前の予防的措置や、望ましい方向への誘導手段として機能します。</p>

<h4>(4)合意形成機能</h4>

<p>行政と相手方との間の対話を通じて、相互理解と合意形成を促進する機能があります。</p>

<h3>1-3 処分と行政指導の区別</h3>

<p>特定行政書士試験において、処分(行政行為)と行政指導の区別は重要な論点です。</p>

<h4>(1)法的拘束力の有無</h4>

<ul>
<li><strong>処分</strong>:法的拘束力があり、相手方は従う法的義務を負う</li>
<li><strong>行政指導</strong>:法的拘束力がなく、相手方の任意の協力を前提とする</li>
</ul>

<h4>(2)不服申立ての可否</h4>

<ul>
<li><strong>処分</strong>:行政不服審査法上の審査請求や行政事件訴訟法上の取消訴訟の対象となる</li>
<li><strong>行政指導</strong>:原則として不服申立ての対象とならない(ただし、例外的に違法確認訴訟等の対象となる場合がある)</li>
</ul>

<h4>(3)手続的要件</h4>

<ul>
<li><strong>処分</strong>:行政手続法上の厳格な手続的要件(聴聞・弁明手続等)</li>
<li><strong>行政指導</strong>:後述する行政指導の特則に従う</li>
</ul>

<h4>(4)判断の基準</h4>

<p>実際の区別にあたっては、以下の要素を総合的に考慮します。</p>

<ul>
<li>法令上の根拠の有無・内容</li>
<li>行政庁の意図・認識</li>
<li>相手方の受け止め方</li>
<li>社会通念上の理解</li>
<li>不利益の程度・性質</li>
</ul>

<hr />
<h2>第2節 行政指導の根拠と限界</h2>

<h3>2-1 行政指導の根拠</h3>

<h4>(1)法律に根拠を有する行政指導</h4>

<p>特定の法律により行政指導の権限が明文で規定されている場合です。</p>

<p><strong>【例】</strong></p>

<ul>
<li>独占禁止法第20条(公正取引委員会の勧告)</li>
<li>金融商品取引法第51条(金融庁長官の勧告)</li>
<li>建築基準法第9条の2(特定行政庁の勧告)</li>
</ul>

<h4>(2)法律に根拠を有しない行政指導</h4>

<p>明文の根拠規定がない場合でも、行政機関の一般的な権能として行政指導が行われる場合があります。</p>

<p><strong>根拠論の展開</strong></p>

<ul>
<li><strong>行政機関の一般的権能説</strong>:行政機関の任務達成のための当然の権能</li>
<li><strong>法律による行政の原理との関係</strong>:権力作用でない限り法律の根拠は不要</li>
<li><strong>憲法上の制約</strong>:表現の自由、営業の自由等の憲法上の権利を侵害してはならない</li>
</ul>

<h3>2-2 行政指導の限界</h3>

<h4>(1)憲法上の限界</h4>

<p>行政指導といえども、憲法の基本権規定に反することはできません。</p>

<p><strong>主要な憲法上の権利</strong></p>

<ul>
<li><strong>表現の自由</strong>(憲法21条):報道、出版等に対する指導</li>
<li><strong>営業の自由</strong>(憲法22条):事業活動に対する指導</li>
<li><strong>財産権</strong>(憲法29条):財産権の行使に対する制約</li>
</ul>

<h4>(2)法律上の限界</h4>

<p>行政指導は、法律の範囲内で行われなければならず、法律に反する内容の指導はできません。</p>

<h4>(3)事実上の強制の禁止</h4>

<p>行政手続法第32条第2項は、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」と規定しています。</p>

<p><strong>事実上の強制となる行為例</strong></p>

<ul>
<li>許認可の遅延・拒否をちらつかせる行為</li>
<li>立入検査の頻度を増やすなどの嫌がらせ的行為</li>
<li>同業他社への働きかけによる間接的圧力</li>
</ul>

<h4>(4)比例原則</h4>

<p>行政指導の内容・程度は、達成しようとする行政目的に照らして比例的なものでなければなりません。</p>

<hr />
<h2>第3節 行政手続法上の行政指導の手続</h2>

<h3>3-1 一般原則(第32条第1項)</h3>

<p>行政手続法第32条第1項は、行政指導の一般原則を次のように定めています。</p>

<p><strong>「行政指導に携わる者は、いやしくもその任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならず、かつ、行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」</strong></p>

<h4>(1)権限逸脱の禁止</h4>

<p>行政指導は、当該行政機関の「任務又は所掌事務の範囲内」で行われなければならず、権限を逸脱した指導は違法となります。</p>

<h4>(2)任意性の確保</h4>

<p>行政指導の本質である「任意の協力」という性格を害してはならないという要請です。</p>

<h3>3-2 行政指導の方式(第35条)</h3>

<h4>(1)一般的要件</h4>

<p>行政手続法第35条第1項は、「行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。」と規定しています。</p>

<p><strong>明示すべき事項</strong></p>

<ul>
<li><strong>趣旨</strong>:なぜその行政指導を行うのかの理由・目的</li>
<li><strong>内容</strong>:具体的に何をするよう、又はしないよう求めているのか</li>
<li><strong>責任者</strong>:当該行政指導について責任を負う者</li>
</ul>

<h4>(2)書面による行政指導(第35条第2項・第3項)</h4>

<p>相手方から書面による行政指導を求められた場合、行政機関は原則として書面を交付しなければなりません。</p>

<p><strong>書面交付義務の例外</strong></p>

<ul>
<li>当該行政指導がその場で完了するもの</li>
<li>既に文書により通知されている事項と実質的に同じもの</li>
<li>その他書面を交付することが適当でない場合</li>
</ul>

<p><strong>書面に記載すべき事項</strong>(第35条第3項)</p>

<ul>
<li>行政指導の趣旨及び内容</li>
<li>責任者</li>
</ul>

<h3>3-3 許認可等の権限に関連する行政指導(第33条)</h3>

<h4>(1)趣旨</h4>

<p>許認可権限を背景とした行政指導は、相手方に対して強い事実上の強制力を持ち得るため、特別な規律が必要です。</p>

<h4>(2)規制内容</h4>

<p>行政手続法第33条は、「申請者が当該申請を取り下げるよう指導してはならない」と規定しています。</p>

<p><strong>禁止される行為例</strong></p>

<ul>
<li>申請の取下げを直接的に求める行為</li>
<li>申請審査の遅延をちらつかせて取下げを促す行為</li>
<li>不許可の可能性を過度に強調して断念を促す行為</li>
</ul>

<h4>(3)適用範囲</h4>

<p>この規定は、行政手続法第2条第3号の「申請」に対応する「許認可等」に関する行政指導に適用されます。</p>

<h3>3-4 複数の者を対象とする行政指導(第34条)</h3>

<h4>(1)趣旨</h4>

<p>同一の行政目的を実現するため複数の者に対して同種の行政指導をする場合、公平性・透明性を確保する必要があります。</p>

<h4>(2)内容の公表</h4>

<p>行政手続法第34条第1項は、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、あらかじめ、事案に応じ、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を公表しなければならない。」と規定しています。</p>

<p><strong>公表事項</strong></p>

<ul>
<li>行政指導の趣旨</li>
<li>行政指導の内容</li>
<li>責任者</li>
</ul>

<h4>(3)例外</h4>

<p>「公表することが困難又は適当でないとき」は公表義務が免除されます。</p>

<p><strong>例外となる場合例</strong></p>

<ul>
<li>緊急事態で公表の時間的余裕がない場合</li>
<li>公表により行政目的の達成が困難となる場合</li>
<li>個人のプライバシーに関わる場合</li>
</ul>

<hr />
<h2>第4節 行政指導に対する相手方の対応</h2>

<h3>4-1 中止等の求め(第36条第1項)</h3>

<h4>(1)制度の意義</h4>

<p>行政指導の任意性を実質的に確保するため、相手方に中止等を求める権利を保障しています。</p>

<h4>(2)要件</h4>

<p>行政手続法第36条第1項は、「法令に違反し、又は行政指導の趣旨に任意に協力することが困難である」場合に中止等を求めることができると規定しています。</p>

<p><strong>「法令に違反し」の意味</strong></p>

<ul>
<li>行政指導の内容自体が法令に違反する場合</li>
<li>行政指導に従うことが法令に違反することとなる場合</li>
</ul>

<p><strong>「任意に協力することが困難である」場合</strong></p>

<ul>
<li>経済的事情により協力が困難</li>
<li>技術的に協力が困難</li>
<li>社会的・倫理的理由により協力が困難</li>
</ul>

<h4>(3)中止等の求めの効果</h4>

<p>相手方からの申出があった場合、行政機関は「必要に応じ、当該行政指導の中止その他の措置を講ずるものとする」(同条第2項)とされています。</p>

<p>「必要に応じ」との文言により、行政機関には一定の判断裁量がありますが、合理的な理由なく申出を無視することは許されません。</p>

<h3>4-2 相手方の権利・自由の尊重</h3>

<h4>(1)基本的考え方</h4>

<p>行政指導は相手方の任意の協力を前提とするため、相手方には以下の権利があります。</p>

<p><strong>相手方の権利</strong></p>

<ul>
<li>行政指導を拒否する権利</li>
<li>行政指導の中止を求める権利</li>
<li>行政指導について説明を求める権利</li>
</ul>

<h4>(2)拒否した場合の取扱い</h4>

<p>行政指導を拒否したこと自体を理由として、不利益な取扱いを受けることはありません(第32条第2項)。</p>

<hr />
<p>##第5節 行政指導の類型と具体例</p>

<h3>5-1 助言・勧告型</h3>

<h4>(1)特色</h4>

<p>相手方の利益や社会全体の利益を図るため、専門的知識に基づいて行われる指導です。</p>

<h4>(2)具体例</h4>

<ul>
<li>食品衛生法に基づく飲食店への衛生管理指導</li>
<li>労働安全衛生法に基づく事業場への安全指導</li>
<li>環境保護に関する事業者への指導</li>
</ul>

<h3>5-2 調整・仲介型</h3>

<h4>(1)特色</h4>

<p>関係当事者間の利害調整や紛争解決のために行われる指導です。</p>

<h4>(2)具体例</h4>

<ul>
<li>建築紛争に関する調整</li>
<li>公害問題の解決に向けた指導</li>
<li>労使紛争の調整</li>
</ul>

<h3>5-3 規制・抑制型</h3>

<h4>(1)特色</h4>

<p>法的規制の限界を補完し、社会的弊害を防止するために行われる指導です。</p>

<h4>(2)具体例</h4>

<ul>
<li>独占禁止法違反の疑いがある行為に対する勧告</li>
<li>金融機関に対する業務改善指導</li>
<li>過大な価格引上げに対する指導</li>
</ul>

<h3>5-4 促進・奨励型</h3>

<h4>(1)特色</h4>

<p>政策目的の実現のため、相手方の積極的な協力を求める指導です。</p>

<h4>(2)具体例</h4>

<ul>
<li>省エネルギー対策の推進</li>
<li>地域振興への協力要請</li>
<li>技術開発の奨励</li>
</ul>

<hr />
<h2>第6節 行政指導の問題点と改革</h2>

<h3>6-1 従来の問題点</h3>

<h4>(1)不透明性・密室性</h4>

<p>行政指導が行政機関と相手方との間の非公式な関係で行われることが多く、透明性に欠ける面がありました。</p>

<h4>(2)事実上の強制</h4>

<p>任意性の建前にもかかわらず、許認可権限を背景とした事実上の強制が行われる場合がありました。</p>

<h4>(3)法的救済の困難</h4>

<p>行政指導に不満があっても、法的救済手段が限定されていました。</p>

<h3>6-2 行政手続法による改革</h3>

<h4>(1)手続的統制の導入</h4>

<p>第32条から第36条までの規定により、行政指導に対する手続的統制が導入されました。</p>

<h4>(2)透明性の向上</h4>

<p>書面交付義務(第35条)や内容の公表義務(第34条)により透明性が向上しました。</p>

<h4>(3)相手方の権利保護</h4>

<p>中止等の求め(第36条)により、相手方の権利保護が図られました。</p>

<h3>6-3 残存する課題</h3>

<h4>(1)実効性の確保</h4>

<p>行政手続法の規定に違反した行政指導に対する制裁措置が不十分です。</p>

<h4>(2)司法審査の限界</h4>

<p>行政指導に対する司法審査は限定的であり、違法な行政指導に対する救済が十分ではありません。</p>

<h4>(3)行政機関の意識改革</h4>

<p>行政指導の適正化には、行政機関職員の意識改革が不可欠です。</p>

<hr />
<h2>第7節 司法審査と行政指導</h2>

<h3>7-1 行政指導と司法審査の関係</h3>

<h4>(1)基本的考え方</h4>

<p>行政指導は処分ではないため、原則として取消訴訟の対象とはなりません。しかし、違法な行政指導に対する司法統制の必要性から、一定の場合に司法審査が認められます。</p>

<h4>(2)違法確認訴訟</h4>

<p>行政事件訴訟法第4条の確認訴訟により、行政指導の違法性の確認を求めることが可能な場合があります。</p>

<p><strong>要件</strong></p>

<ul>
<li>現在の法律関係に関する訴え</li>
<li>即時確定の利益</li>
<li>確認の利益</li>
</ul>

<h4>(3)予防的禁止訴訟</h4>

<p>将来の違法な行政指導を予防するための差止訴訟も理論的には可能です。</p>

<h3>7-2 損害賠償請求</h3>

<h4>(1)国家賠償法第1条第1項による救済</h4>

<p>違法な行政指導により損害を受けた場合、国家賠償法に基づく損害賠償請求が可能です。</p>

<p><strong>要件</strong></p>

<ul>
<li>公務員の職務行為</li>
<li>故意又は過失</li>
<li>違法性</li>
<li>損害の発生</li>
<li>因果関係</li>
</ul>

<h4>(2)違法性の判断基準</h4>

<p>行政指導の違法性は、以下の観点から判断されます。</p>

<ul>
<li>権限の逸脱・濫用</li>
<li>手続的瑕疵</li>
<li>内容の不当性</li>
<li>憲法上の権利侵害</li>
</ul>

<hr />
<h2>第8節 特定行政書士試験における出題傾向</h2>

<h3>8-1 頻出論点</h3>

<h4>(1)行政指導の定義・要素</h4>

<ul>
<li>処分と行政指導の区別</li>
<li>任意性の意義</li>
<li>行政目的との関係</li>
</ul>

<h4>(2)手続的要件</h4>

<ul>
<li>書面交付義務とその例外</li>
<li>複数対象者に対する公表義務</li>
<li>中止等の求め</li>
</ul>

<h4>(3)限界論</h4>

<ul>
<li>事実上の強制の禁止</li>
<li>憲法上の権利との関係</li>
<li>比例原則</li>
</ul>

<h4>(4)司法審査</h4>

<ul>
<li>違法確認訴訟の可能性</li>
<li>国家賠償責任</li>
</ul>

<h3>8-2 事例問題への対応</h3>

<h4>(1)事実認定のポイント</h4>

<ul>
<li>行政庁の意図・認識</li>
<li>相手方の受け止め方</li>
<li>周囲の事情</li>
<li>不利益の程度・性質</li>
</ul>

<h4>(2)法的評価の枠組み</h4>

<ul>
<li>行政指導該当性の判断</li>
<li>適法性の検討(権限、手続、内容)</li>
<li>救済手段の検討</li>
</ul>

<h4>(3)論述のポイント</h4>

<ul>
<li>定義・要件の正確な理解</li>
<li>事実と法規範の対応関係</li>
<li>結論の明確な提示</li>
</ul>

<hr />
<h2>第9節 関連判例の整理</h2>

<h3>9-1 品川マンション事件(最判昭和61年2月13日)</h3>

<h4>(1)事案の概要</h4>

<p>建築確認申請に対し、行政庁が近隣住民との話し合いを求める指導を行った事案です。</p>

<h4>(2)判決の要旨</h4>

<p>行政指導は相手方の任意の協力を前提とするものであり、強制手段を背景とした事実上の強制があってはならないとしました。</p>

<h4>(3)意義</h4>

<p>行政指導の限界を明確にした重要判例として位置づけられます。</p>

<h3>9-2 武蔵野市マンション事件(最判平成5年2月18日)</h3>

<h4>(1)事案の概要</h4>

<p>マンション建設に関し、市長が事業者に対して建築確認申請の取下げを求めた事案です。</p>

<h4>(2)判決の要旨</h4>

<p>行政指導は行政処分ではなく、原則として取消訴訟の対象とならないが、著しく不当な場合には例外的に司法審査の対象となり得るとしました。</p>

<h4>(3)意義</h4>

<p>行政指導に対する司法審査の可能性を示した判例として重要です。</p>

<h3>9-3 パチンコ店許可申請事件</h3>

<h4>(1)背景</h4>

<p>パチンコ店の許可申請に対し、警察署長が地元住民の同意を得るよう指導した事案の類型です。</p>

<h4>(2)裁判所の判断</h4>

<p>住民の同意は許可の法定要件ではなく、これを事実上強制することは違法とする判断が示されています。</p>

<h4>(3)実務上の意義</h4>

<p>許認可に関連する行政指導の限界を示すものとして重要です。</p>

<hr />
<h2>第10節 今後の課題と展望</h2>

<h3>10-1 制度改革の方向性</h3>

<h4>(1)透明性の一層の向上</h4>

<ul>
<li>行政指導の記録・公表の充実</li>
<li>ガイドラインの策定と公表</li>
<li>第三者機関による監視</li>
</ul>

<h4>(2)救済制度の充実</h4>

<ul>
<li>行政指導に対する苦情処理制度</li>
<li>オンブズマン制度の活用</li>
<li>司法審査の拡充</li>
</ul>

<h4>(3)職員の資質向上</h4>

<ul>
<li>研修制度の充実</li>
<li>適正な行政指導の手法の普及</li>
<li>法令遵守意識の徹底</li>
</ul>

<h3>10-2 国際的動向との整合</h3>

<h4>(1)規制改革の流れ</h4>

<p>国際的な規制改革の潮流の中で、行政指導の役割を再検討する必要があります。</p>

<h4>(2)透明性・予見可能性の要求</h4>

<p>国際基準に合致した透明で予見可能な行政運営が求められています。</p>

<hr />
<h2>第11節 練習問題</h2>

<h3>問題1(択一式)</h3>

<p>行政指導に関する次のアからオまでの記述のうち、妥当でないものはどれか。</p>

<p>ア.行政指導は、相手方の任意の協力により実現されるものであるから、相手方には行政指導に従う法的義務はない。</p>

<p>イ.行政指導に携わる者は、相手方に対して当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。</p>

<p>ウ.相手方が行政指導に従わないことを理由として、行政機関が不利益な取扱いをすることは許されない。</p>

<p>エ.行政指導は処分ではないので、いかなる場合でも取消訴訟の対象とはならない。</p>

<p>オ.複数の者に対して同種の行政指導をするときは、原則として事前に趣旨・内容・責任者を公表しなければならない。</p>

<p><strong>解答:エ</strong> 行政指導は原則として取消訴訟の対象とならないが、著しく不当な場合には例外的に司法審査の対象となり得る。</p>

<h3>問題2(記述式)</h3>

<p>A市長は、市内で大型商業施設の建設を計画しているX会社に対し、周辺住民への説明会を開催するよう求める行政指導を行った。X会社はこれに応じず、A市長は「説明会を開催しなければ建築確認を遅延させる」旨を示唆した。この事例における法的問題点を論述せよ。</p>

<p><strong>解答のポイント</strong></p>

<ol>
<li>行政指導の該当性(行政手続法第2条第6号)</li>
<li>事実上の強制の禁止(第32条第2項)</li>
<li>許認可権限を背景とした不当な圧力の問題</li>
<li>X会社の救済手段(中止等の求め、司法審査、国家賠償等)</li>
</ol>

<hr />
<h2>まとめ</h2>

<p>行政指導は、現代行政において重要な役割を果たしている制度ですが、その任意性・透明性を確保することが課題となっています。行政手続法により一定の手続的統制が導入されましたが、なお改善の余地があります。特定行政書士試験では、行政指導の法的性質、手続的要件、限界などを正確に理解し、具体的事例に適用できる能力が求められます。</p>

<h3>重要ポイントの再確認</h3>

<ol>
<li><strong>定義の正確な理解</strong>:処分との区別、任意性の意義</li>
<li><strong>手続的要件</strong>:書面交付、公表、中止等の求め</li>
<li><strong>限界論</strong>:事実上の強制の禁止、憲法上の権利との関係</li>
<li><strong>司法審査</strong>:例外的な場合の確認訴訟等の可能性</li>
<li><strong>実務的対応</strong>:相手方の権利保護、適正手続の確保</li>
</ol>

<p>行政指導は理論と実務が密接に結びついた分野であり、条文の正確な理解とともに、具体的事例における法的判断能力を養うことが重要です。継続的な学習により、特定行政書士として必要な知識と能力を身に付けましょう。</p>

<hr />
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